2025/04/06投稿者:スタッフ

海外現地法人と本社間の財務連携 ── IFRSとJGAAP、制度の“ねじれ”にどう向き合うか

グローバルに展開する日本企業において、経営戦略の根幹を担う財務部門には高度なバランス感覚が求められます。特にIT・製造・金融など多様な事業を持つ大企業では、海外現地法人との連携において、会計基準・運用実務・マネジメントスタイルの違いから複雑な課題が生まれます。

 

IFRSとJGAAP──基準の違いを超えて

たとえば、日本本社ではJGAAP(日本基準)で管理会計・制度会計の整合を取っている一方で、海外現地法人ではIFRSやUSGAAPを採用しているケースも多く、単純な損益や資産の比較ができないという現実があります。

 

 

・契約認識基準(Revenue Recognition)に違いがあることで、受注ビジネスの売上計上タイミングがずれる
・リースや減損の基準に差があり、資産管理の方針も乖離する

 

 

こうした「制度のねじれ」は、単なる会計処理の違いにとどまらず、経営判断や内部統制のあり方にも影響を与えます。

 

財務マネージャーの実務──現地との接点で何が起きているのか

たとえば欧州の現地法人では、サプライチェーンのDX投資をめぐって資本支出計画の進め方で本社と温度差が生まれ、月次報告の中で折衝が必要になったという話もあります。

 

 

・本社が求めるROI基準に対して、現地法人は地域特有のリスク(地政学的要素や為替)を重視
・経営判断のスピード感にもギャップがあり、計画が進まない
・一方で、現地メンバーは「本社の説明責任」に理解が薄く、仕組みの押しつけと誤解されることも

 

実務のヒント──「通訳」ではなく「共創」へ

こうした中で鍵を握るのは、「本社の論理」を一方的に伝えるだけでなく、現地法人の事業背景・人材構成・意思決定の文脈を理解しながら、共に仕組みを作っていくアプローチです。

 

 

・現地法人のKPIを共有し、財務ガバナンスの視点からその意味を整理する
・IFRSベースでのシミュレーションを先に共有し、JGAAP報告とのすり合わせを事前に設計する
・ローカル経理部門とタスクフォースを組み、業務プロセスの棚卸しを行う

 

 

グローバル経営において、「財務部門」は単なるコスト管理の部隊ではなく、経営の言語を翻訳し、制度と実務の接点を設計する“戦略実行支援機能”です。

IFRSとJGAAPの“見えない壁”を超えて、本社と現地法人の信頼関係を築き、柔軟で実効性ある運用を実現する。その実務には、会計知識だけでなく、対話力と構想力が試されます。