2025/05/14投稿者:スタッフ

グローバル開発におけるテックリードの実務──技術と文化の“共通言語”を設計する力

 

グローバルな開発プロジェクトにおいて、公用語が英語という環境はもはや珍しくありません。日本企業であっても、GitHub上でインドやベトナム、様々な国の開発者とコラボするのが当たり前になりつつあり、テックリードに求められるスキルセットも大きく変化しています。

 

本記事では、分散チームを率いるテックリードに必要な視点、具体的な技術ツールや実務上の調整課題について掘り下げます。

 

分散開発におけるアーキテクチャ設計のリアル

 

グローバル展開における大きな壁の一つは、アーキテクチャの標準化とローカル最適化の両立です。

 

たとえば、東南アジア向けにはNext.js + Firebaseのような軽量なSPA構成がフィットする一方で、欧州ではGDPRに準拠したサーバーサイドレンダリング(SSR)やAWS EUリージョンの運用が求められることもあります。

 

このような多様性の中で、Terraform や Kubernetes、GraphQL や REST API の設計原則をどう共有するか。テックリードには、技術選定だけでなく、背景にあるビジネス要請を踏まえた合意形成スキルが求められます。

 

 

 

テックリードの“英語力”とは、技術翻訳力である

 

「英語ができる」といっても、英会話の流暢さが求められるわけではありません。むしろ重要なのは、「技術要件を GitHub の Pull Request や Issue コメントで正確に伝えられる力」です。

 

  • ドキュメント作成:Notion や Confluence を使った設計方針の共有

  • コードレビュー:GitHub 上での具体的なコメントと説明責任

  • チーム内説明:Figma や Miro を使った図解による共通認識の醸成

 

さらに、PM や UX デザイナー、ビジネスサイドとの接続も英語で行われるため、技術を平易な言葉で語る能力=翻訳力がテックリードの生命線となります。

 

 

アジャイル×多国籍=“前提”のすり合わせ

 

開発プロセスも文化圏によって常識が異なります。スクラムのスプリントにおいても、日本的な“完璧に仕様を固めてから進める”前提と、米国式の“まず MVP を出してから改善”という姿勢では、スタート地点が違います。

 

そこで求められるのが、

  • 定例ミーティングの設計(英語でのスタンドアップ)

  • Jira や Linear での課題管理ルールの明文化

  • スクラムイベントのロールごとの役割再定義

 

など、「開発そのものの前提文化」を翻訳し、ルールとして再設計する力です。

 

 

 

レビューと技術啓蒙は“個別最適”で進める

 

レビュー文化を全チームに定着させるには、GitHub 上の Pull Request コメントで「なぜその書き方は適切でないか」「どのリファレンスが参考になるか」といった文脈説明が鍵を握ります。

 

また、React を熟知したインド人エンジニアと、Python が主戦場のロシア人エンジニアとでは、レビューの観点もアプローチも異なります。レビューは形式化ではなく、相手に応じた“技術育成”の一部と捉えるべきでしょう。

 

たとえば:

  • コードスタイルは ESLint / Prettier を共通ルール化

  • レビュー観点はチームごとの Notion に蓄積

  • 開発言語別に技術ドキュメントのテンプレートを分ける(TypeScript / Go / Python)

 

まとめ】テックリードは、文化と技術の橋渡し役

 

グローバル開発では、“誰がコードを書けるか”より、“どうやって全員が同じ地図を見られるか”が問われます。テックリードは、異なる国籍・技術スタック・開発文化をまたぎながら、1つのビジョンを技術に落とし込む存在です。

 

優れたコードスキルに加え、「翻訳者」としての役割を担える人材が、これからのテックリードとして求められていると言えるでしょう。

 

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