2025/05/01投稿者:スタッフ

海外スタートアップとの協業はどう進める? 日本企業に求められる“目利き力”と“翻訳力”

グローバルなオープンイノベーションが注目される中で、日本企業が海外スタートアップとの協業を本質的に成功させるには何が必要なのでしょうか。

国内大手企業によるCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)やアクセラレーター支援の枠組みは年々整備されつつありますが、実際に「事業として形にする」ための課題は根深く存在しています。

 

 

海外発スタートアップと組むとき、日本企業が直面する“壁”とは?

特に欧米発の技術系スタートアップと連携する場合、次のような課題が頻出します

  • 技術・市場の目利きが追いつかない:本質的な技術の強みや商機が日本側に理解されず、適切な連携ポイントを見誤る。

  • スピード感のギャップ:アジャイルな動きを前提としたスタートアップと、日本的な稟議文化の相性が悪い。

  • “翻訳者”不在:技術や事業を理解し、現地のスピード感と日本企業の意思決定構造を両面理解できる人材が不足している。

 

鍵となるのは“翻訳力”と“現地との継続的な対話”

協業を進めるうえで、次のような実務的アプローチが求められます

  • 技術とビジネスの橋渡しができる人材の存在

    • 単なる通訳ではなく、現地スタートアップの考えを日本企業の意思決定層に正確に伝える“意味の翻訳”が必要です。

  • 国内における受け皿体制の構築

    • アライアンス締結後のPoC(実証実験)やプロダクトインテグレーションを誰がどの体制で行うのか、日本側に責任者と動けるリソースを確保することが重要です。

  • 現地目線のマーケット理解とプロダクト改善

    • 「なぜこの技術・プロダクトが現地でウケているのか」「その文脈は日本でも通じるのか」を冷静に分析する視点が欠かせません。

 

日本企業が強みにできること──“事業化への地道な支援”

スピードや発想力ではスタートアップ側に軍配が上がる場面も多い一方、日本企業の強みはやはり「地に足のついた実行力」や「プロダクトの制度設計・運用フェーズへの耐性」です。

 

たとえば

  • 海外スタートアップがPoC止まりで苦戦するところに、日本側が業界横断での導入支援や規制対応のノウハウを提供できる。

  • 安定的な実装力を武器に、製品の信頼性向上や社会実装における壁を一緒に乗り越える役割を果たせる。

 

まとめ

海外スタートアップとの協業は、日本企業にとって“グローバルな目利き力”と“多言語的な翻訳力”を問う挑戦です。

 

「スタートアップを探す」ことよりも、「スタートアップと一緒に事業を創る」力が、今後のグローバル事業開発に求められていくでしょう。